香川県高松市が誇る、国の伝統的工芸品「香川漆器」。創業100余年の老舗「一和堂工芸」は、その伝統を受け継ぎながら、現代の暮らしに寄り添う漆器を提案しています。今回は、数ある香川漆器の中でも特に人気の高い「後藤塗」の魅力に迫ります。大切な人への贈り物にもぴったりな、使うほどに味わいが増す“育てる器”を探してみませんか。
TEXT:中山 瑞貴
多彩な技法が彩る、香川漆器の魅力
香川漆器は、江戸時代初期に高松藩主・松平頼重の保護のもとで発展した、国の伝統的工芸品です。漆を塗り重ねた表面に施す多彩で芸術性の高い加飾技法が特徴で、代表的な技法には、模様を掘ったくぼみに色漆を埋めて線刻の美しさを表出させる「蒟醤(きんま)」、毛彫りや線彫りの繊細な掘り口に金泥を埋めたり、金泥で模様を線描きする「存清(ぞんせい)」、色漆を100回以上塗り重ね厚い漆の層を彫刻して立体感のある模様を描く「彫漆(ちょうしつ」などがあります。その美しさと実用性を兼ね備えた器は、現代では食器やアクセサリーなどにも幅広く展開され、国内外で高い評価を受けています。
使うほどに艶が増す、用の美「後藤塗」
香川漆器を代表する技法のひとつ「後藤塗」。素地を固めた器の中塗りの上に朱の漆を塗り、指先で特殊な斑紋を作り出すのが特徴です。堅牢で丈夫なため、お盆やお椀といった日常使いの器に多く用いられます。この技法の最大の魅力は、長年使い込むほどに漆の透明感が増し、鮮やかな朱色と斑紋の濃淡が美しくなっていくこと。日々の暮らしの中で器が育っていく表情の変化を楽しめる、まさに用の美を体現した漆器です。
受賞歴が証明する、後藤塗の確かな評価
「一和堂工芸」が手がける後藤塗の漆器は、その芸術性の高さからインテリアとしても空間を鮮やかに彩り、全国の漆器展や香川県内のコンクールで数々の賞を受賞しています。特に「後藤・黒水玉カップペア」は、「第51回全国漆器展」において経済産業省製造産業局長賞を受賞するなど、品質とデザイン性が高く評価されている逸品です。伝統の技法が生み出す確かな品質は、多くの人を魅了し続けています。
大切な人に贈りたい、長く使える美しい器
長く使うほどに味わい深く、持ち主だけの特別な器へと育っていく様は、何物にも代えがたい漆器の魅力です。その性質から、結婚のお祝いや両親へのプレゼントなど、大切な節目に贈るギフトとしても大変喜ばれています。漆器は抗菌効果が高い素材なので、お子様からご年配の方まで安心して使えるのも嬉しいポイントです。
◆一和堂工芸
住所:香川県高松市屋島東町1572
連絡先:087-841-1531
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